■終盤に失速も、成長を感じた素晴らしいシーズン

文・siebenendenweg

~ヘルタ・ベルリンの成績~

7位 勝ち点50 得点42 失点42


シー ズン前、ヘルタにとって嵐のような航海となると予想したが、チャンピオンズリーグ出場という夢は夢のまま終わってしまったものの、15-16シーズンは 14勝8分け12敗、勝ち点50での7位。これは、ヘルタにとって上出来のシーズンだったと言える。まず、ヘルタの1ファンとして選手、スタッフには感謝 したい。

前半戦については、ウィンターブレイクの総括を見ていただきたいと思うが、ベルリンのサッカー紙FuWo(Fußball-Woche)の見出し「ヘルタ、もはや止められない」の通りで、快進撃を見せ3位で折り返すという素晴らしい前半戦だった。


ざっ と、後半戦を振り返ろうと思う。後半戦のスタートは、ゴールが遠かったアウクスブルク戦、逆にリードしながらあっさり追いつかれたブレーメン戦という 180度違う形での引き分け、その次のドルトムント戦では強敵相手に臆することなく戦ったが、スコアレスドローと3試合3引き分けというスタートとなっ た。

続くリーグ戦の合間に行われたDFBポカール準々決勝、ハイデンハイ ム戦は、2部チームを相手に先制されるも、きっちり3:2で勝利したが、その週末に行われたシュトゥットガルト戦は、カップ戦から中2日。疲労もあってか 精彩を欠き、ミスも目立ち、残留に必死な相手に圧倒され敗れてしまった。

少し嫌な負け方だったが、ここで一気に崩れることはなく、逆にここからの6試合は、苦手とするシャルケに勝つなど、4勝1分け1敗と結果を残しチャンピオンズリーグ出場圏内に踏みとどまっていた。




と ころが、流れが一気に悪くなったのは、敵地でのボルシアMG戦だった。前半戦での対戦では完敗した相手だったが、ヘルタはまたもや仔馬達に完膚なきまでに 翻弄され、0-5と痛すぎる敗戦を喫してしまった。その次のホームでのハノーファー戦は、降格寸前の相手によもやの2-2と引き分けてしまう。

そ の後は、久々に勝ち残っていたDFBポカールの準決勝でドルトムントに0-3と敗れ、リーグ戦も最後まで勝つことなくシーズンを終えた。第33節を終えた 時点でのFuWoの見出しは、「終わりは、たった7位?」だったが、最終節のマインツ戦もゴールが遠く、ヨーロッパリーグ予選出場権となる7位でシーズン が終わった。




シー ズン終盤、勝てずに終わり、CL出場はおろかELストレートインすら逃したことは確かに残念だった。ただ、降格におびえた昨シーズンを考えると、ダルダイ 監督の2年目は成長を本当に感じた素晴らしいシーズンだった(ここ数シーズン続く後半戦の成績が悪くなることは、残念ながら続いてしまったが…)。

また、何よりも毎年早々に敗退していたDFBポカールで準決勝まで勝ち残ったことは嬉しかった。決勝の夢はドルトムントの前に儚く散ったが、準決勝のチケットの一般販売分は僅か10秒で完売し、地元放送局のRBB(Rundfunk Berlin-Brandenburg、ベルリン=ブランデンブルク放送)も“Traum vom Finale“(夢の決勝)というドキュメンタリー映画を放送するなど、本当に盛り上がった。決勝がベルリン開催の間に一度でも良いのでヘルタが決勝に進むことを願っている。

話がシーズンを総括した形になったが、今シーズンをデータで簡単に過去2シーズンと比較し見てみようと思う。



デー タで顕著なのは、パス数とパス成功率が上昇したことだ。ポゼッションし、短いパスワークから相手を崩すシーンは増え、攻撃面での進歩は見られた。だが、最 終ラインからの組み立てに関しては、出しどころに困り、取られ結果ピンチを招く場面が後半戦は多々見られ、工夫や改善が必要だ。また、チャンスの数(= シュート数)は、リーグ最少だった。これは、ある意味効率的に得点しているともいえるが、最後のところの精度を上がれば、当然チャンスの回数は増えるはず だ。



そ の他、データ上で気になったのは、チームのスプリント回数の少なさだ。ずっとスピーディなサイドプレーヤーが必要であることは監督自身が述べていたが、そ もそもスピードタイプの選手が原口、ヴァイザーと限られている。ここはオフシーズンのプレーツ氏の腕の見せ所だ(現在、アウクスブルクのエスヴァインの獲 得に動いているようだが…)。

最後に、個人的に気になったのは、今シーズ ン通してダルダイ監督の起用策や交代策がほぼ同じだったことだ。例えば、ベーレンス、シュトッカー、バウムヨハンあたりはもう少し出場機会や出場時間を与 えても良かったのではないかと思う。もちろん練習での出来やコンディションが関係するので、一概には言えない部分もあるが。